はじめに
近年、医療現場では「ペイシェントハラスメント(通称ペイハラ)」と呼ばれる、患者様やご家族からの理不尽な言動によるトラブルが問題になっています。
医師やスタッフに対する暴言、暴力、過剰な要求など、多様なケースが報告されており、その影響はスタッフの精神的負担にとどまらず、職場環境の悪化や離職の原因にもなりかねません。
なぜペイハラが増えているのか
高まるサービス期待
医療がまさに「サービス」として捉えられる時代になり、予約の正確さ、待ち時間の短さ、対応の丁寧さなどに対する期待が高まっています。その分、小さなミスが許容されず、クレームに繋がりやすい状況です。
患者側の情報リテラシーの向上
インターネットの普及で患者様自身も医療情報を得やすくなりましたが、情報の信頼性にばらつきがあり、診療方針への不満やズレが生じるケースも増えています。
患者の権利意識の高まり
インフォームドコンセントの定着により、患者様は「対等な説明」を求めるようになり、納得が得られない場合にはSNSや口コミを通じた発信を行うことも増えています。
クレームは改善のヒントにもなる
クレームは必ずしも否定的なものではありません。患者様の声を適切に受け止めることで、サービス向上や業務改善の機会になる可能性があります。
ただし、繰り返される過剰な要求や理不尽な行為は、スタッフに大きなストレスを与え、退職リスクとなってしまうこともあります。
実践!ペイハラ・クレーム対応のポイント
複数スタッフで迅速かつ丁寧な対応
上司や同僚がすぐに共有し、対応体制を整えて対応速度と質を両立しましょう。
徹底的な傾聴姿勢
「話を遮らず」「共感を示しながら」聞き、背景にある本当の不満を探ります。
事実に基づく原因究明
推測ではなく、関係者へのヒアリングや記録などを活用して、客観的な原因分析を行います。
迅速かつ正確な回答
調査が終わったら早めに患者様に説明し、謝罪や誤解の解消を行います。対応できる事項とできない事項を明確に伝えることも重要です。
繰り返しや不当要求への対応
同じ要求を繰り返される、または粘着的な態度に至った場合は、対応を打ち切る判断も必要です。
外部・第三者の視点の活用
外部の弁護士や専門機関の意見を聞くことで、主張に客観性と説得力を持たせられます。
万が一に備える院内整備
対応マニュアルの作成と共有
対応策をマニュアル化し、スタッフ全員に浸透させることで、事態発生時にも統一的に対応できます。
対応方針の事前掲示
待合室や院内ウェブサイト上で、クレームに関する姿勢(対応可能範囲・受付方法など)をあらかじめ示すことで、患者様の安心感や理解を促します。
緊急時のセキュリティ対策
一般的な警備会社や、必要に応じて警察通報を含む警備体制を導入することで、迅速な対応が可能です。ただし、周囲の患者様や近隣への配慮も併せて検討を。
まとめ
ペイシェントハラスメントという言葉に象徴されるように、理不尽なクレームや迷惑行為に直面するクリニックは増えています。しかし、適切な受け止め方と院内整備によって、それらを単なるトラブルではなく、改善のきっかけや患者様との信頼を深める機会に変えることができます。
スタッフの精神的な安全を守ると同時に、すべての患者様にも安心して通院していただける環境作りに、ぜひお役立てください。
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非常勤事務長サービスであるコンサル事務長「事務コン」は、クリニックの先生方が本来の業務である「診療に集中する環境を作る」ことをミッションにしています。
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