クリニック経営に新たな追い風『データ提出加算』の活用【データ提出加算①全3回】
データ提出加算とは
データ提出加算は、「生活習慣病管理料(ⅠまたはⅡ)」を算定している患者さんの診療データを厚生労働省へ提出することで、追加で報酬が算定できる仕組みです。
2023年10月からは、外来や在宅、リハビリテーションにおいても算定が可能となり、生活習慣病管理料(Ⅰ・Ⅱ)などに付随して月1回50点(約500円)の加算が認められています。
データ提出加算の背景
この制度の目的は、「生活習慣病に対する医療の質を可視化し、地域や診療所間のばらつきを減らす」ことにあります。
提出されたデータは統計的に分析され、医療政策の改善やPDCAサイクルの推進に役立てられます。
しかしながら、2024年12月時点で外来データ提出加算を算定している医療機関は、内科標榜クリニックの数に対して2%未満と、普及が進んでいないのが現状です。
その主な理由として、制度の理解不足や算定ノウハウの欠如、データ作成の負担の大きさが挙げられます。
データ提出加算は、一見手間に見えますが、「継続収益 × 医療の質向上」の両面に貢献する制度です。
必要な体制さえ整えば、中長期的には大きなメリットが期待できます。
データ提出加算のメリット
データ提出加算を活用することで、期待できるメリット
- 収益の向上:1人当たり月500円の加算が可能であり、例えば100人の患者が対象となれば、月5万円、年間で60万円の収益増加が見込まれます。
- 診療の質の向上:データ提出を通じて診療内容の可視化が進み、医療の質の向上や業務の効率化につながります。
- 制度への対応:今後、データ提出が施設基準の要件となる可能性があり、早期に対応することで制度変更への柔軟な対応が可能となります。
導入に向けたステップ
- 制度の理解:厚生労働省の資料や専門家のセミナーを活用し、制度の詳細を把握する。
- 体制の整備:データ提出に必要なシステムの導入やスタッフの教育を行う。
- スケジュール管理:提出期限を遵守するためのスケジュールを策定し、遅延が発生しないよう管理する。
- 継続的な評価:データ提出の効果を定期的に評価し、必要に応じて改善を図る。
まとめ
データ提出加算は、クリニックの収益向上や診療の質の向上に寄与する制度です。
導入には一定の準備が必要ですが、長期的な視点で見れば大きなメリットが期待できます。今後の制度変更にも柔軟に対応できるよう、早期の導入を検討してみてはいかがでしょうか。