はじめに「6月1日でゴールではありません」
令和8年度(2026年度)の診療報酬改定が、6月1日からスタートしました。「届出も済ませたし、ひと段落」と思っている院長先生も多いかもしれません。
ですが実は、施行後の6月〜8月こそが本当の山場です。厚労省は5月〜6月にかけて「疑義解釈(ぎぎかいしゃく)」という追加ルールの説明を立て続けに出しており、直近では6月17日(その8)、6月26日(その9)と、施行後も毎週のように補足が続いています。
「疑義解釈」とは、改定のルールで現場が迷いやすい点について、厚労省が「この場合はこう扱ってください」と後出しで答えるQ&A集のことです。ここに、算定漏れ=取りこぼし収入につながる重要な情報が隠れています。
① 見逃すと損する:「届出済み」でも安心できない加算
今回の改定では、「すでに届け出ているなら、再提出はいらない」という親切な経過措置がいくつか設けられました。
たとえば、初診料で電子的診療情報連携体制整備加算を届け出済みなら、再診料・外来診療料で同じ加算を取るために改めて届け出る必要はない、と整理されています。同じように、医療DX推進体制整備加算などをすでに届け出ている医療機関は、6月1日以降にこの加算を算定する場合でも再届出は不要です。
ここで損するパターンは2つです。
ひとつは、「再届出不要」を「何もしなくていい」と勘違いすること。届出は不要でも、院内掲示やホームページへの掲載といった“別の宿題”が残っているケースがあります。
もうひとつは、逆に「経過措置があるから、まだ届出しなくていい」と先延ばしして算定開始月を逃すこと。届出は「月末までに厚生局が受理したものは翌月から算定可」というルールです。1日遅れるだけで、丸ひと月分の加算をまるごと取り損ねます。
② 知らないと将来困る:8月にもう一度“宿題”が来る項目がある
ここが今回いちばんの落とし穴です。
在宅医療をしている医療機関(在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料を届け出ているクリニック)は、「いまは再届出不要」でも、令和8年8月に改めて基準を満たしているか確認し、必要な届出を行うことが求められています。
つまり「6月で終わった」と思っていると、8月の手続きをまるごと見落とすリスクがあるということです。在宅をやっている先生は、カレンダーに「8月・在総管の確認」とメモしておくことを強くおすすめします。
③ 得になる:算定できる加算の「併算定」ルールが緩和された
一方で、嬉しい情報もあります。
生活習慣病管理料(Ⅱ)に新しく加わった「眼科医療機関連携強化加算」「歯科医療機関連携強化加算」について、紹介先へ情報提供する際の診療情報提供料(Ⅰ)を、同じ月のうちに一緒に算定してよいことが明確になりました。
高血圧・糖尿病・脂質異常症の患者さんを多く診ているクリニックでは、これは地味に効いてきます。「併算定できないと思って取っていなかった」という取りこぼしが起きやすいポイントなので、レセコン(レセプト作成ソフト)の設定とあわせて確認しておきたいところです。
④ 外部環境の変化:ホームページ掲載は“実質義務”の時代へ
施設基準の院内掲示について、紙だけでなく自院ホームページへの掲載が原則必要というルールは、経過措置がすでに終了し、対象医療機関では実質義務になっています。
「うちはホームページがないから関係ない」という抜け道も一部残ってはいますが、今後の制度強化を考えると、もはやHP整備は“やっておくべき投資”のフェーズです。SEO(検索で上位に出る対策)も含め、患者さんに選ばれる導線として整えておく価値があります。
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